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キャンプ相談日の1コマ

先週の「みんなでつくる」デイキャンプ相談日から始まり、今週3日間のさと組(3歳児)夏季保育を終え、明日キャンプ本番を迎えるところです。

毎日暑いですが、夕方からは少し暑さが和らぎ、夜もエアコンなしで寝られるようになってきました。とはいえ、涼しい部屋でじっとしていることの多かった8月。時々温かい味噌汁やお茶を飲んで、できるだけ胃腸を整え、9月に夏の冷えと疲れが出ないようにしていこうと思います。

 

例年泊りだったキャンプ、今年はコロナでどうしようか、とスタッフで話し合いました。

さとのたねに関わってきた子供たちにとってさとたねのキャンプはこの夏、数少ないお楽しみ。野外で、日帰りなら、これまでの子供が作るキャンプのコンセプトはそのままに実現できそう、ということで保護者の方にも感染防止対策を共有いただいた上で、実施することになりました。

 

あ、まだ本番は迎えてないんですけどね。先日はその相談日でした。

参加するのは、さとのたね会員のOB、兄弟の年中~小2まで。

学校に入ってしまうとなかなか主役になりずらい小学生低学年の子供たちが主体的に取り組めたらいいね、という思いからこの学年で今は行っています。

 

初めての子はちょっと様子を伺いながら。

2年目、3年目の子は、今年はこんなふうに過ごそうと思ってるんだって意気込みを感じます。

初めましての子、関係性がまだない状態の子もいるので、まずは半日心をほぐすためご飯作りやらやりたいことや遊びやらを通してお互いを知っていきます。

それでもたった半日でお互いのことが十分わかるなんてことは難しくて、ほんとはもっと時間が必要なんですけどね。

 

その中でも子供の姿で印象的だったことが二つありました。

長くなるので今回はその一つをご紹介します。

 

炭での火起こしを率先してやってくれた小学2年生のTくんのこと。

 

去年も参加していたTは、お昼に焼きそば作りをするための火起こしの手伝いに真っ先に来て、炭の組み方から、着火剤の配置、どのタイミングでうちわで風を送るか、炭にまんべんなく火が行きわたるようにするにはどうしたらいいかを、よーくわかっていて、一つ一つを丁寧に実践していきました。

 

「実践」という言葉を使ったのにはわけがあって、あまりに手際がいいので、私が「Tのおうちは家でよくバーベキューするの?」と聞いたら、「たまにする」と言います。

続けて、「でもね、家だとあんまりやらせてもらえなくって。全部最初から最後までやったことはないんだ。」

「だからやってみたくて」と彼は手を動かしながら教えてくれました。

 

その横顔はなんだか私には凛として、緊張感もあって、責任感みたいなものも漂っていて、なおかつ喜びにあふれているように見えました。

 

そっか~、です。もうね、そういう時ってほんとに表情が全部物語っているんです。素敵だなって思いました。

 

それでね、もう一つ視点を別のとこに落としてみると、お家でのお父さんの関わりが見えてくるじゃないですか。

これをどう捉えるか、だと思うのね。

子供がやりたがっていることを見落としている、と思いますか?

チャレンジさせてあげたらいいのに?って思いますか?

 

私はどちらでもありませんでした。

 

お父さんの関わりはこれはこれでいいな、ありがたいなって私は思いました。

Tくんの上には2つ上のお兄ちゃんがいて、お兄ちゃんのほうはもうある程度火の番を任されているそうです。

でも、Tくんも見様見真似で一部はお手伝いしていたのでしょうけど、全てを任せるにはまだ早いと踏んでのことでしょう。

 

その間、彼は自分でやってみたいという気持ちを存分に膨らませながらお父さんやお兄ちゃんたちの火起こしを隈なく見尽くして、心にためていたんでしょうね。

 

そして、心に溜めたものを出すチャンスがたまたまこのキャンプ相談日だった、ということです。

子供にとって溜めの時期って私は時に大きな力を後々発揮する大事な期間だと私は思っています。

いつもいつもやりたいことを好きなようにできるのがいいことかと言えば、そいう時もあってもいいし、そうじゃない時もあってもいいと思います。

 

そのことを通して子供が何を得ているか、どんなふうに心が動いているかに着目してみると、彼のやりたい気持ちは最大限に膨らんだ状態で挑むことができ、だからこそ、真剣で、緊張感があって、途中失敗して鎮火しても再びチャレンジして、最初から最後まで携われるということへの喜びが何十倍にもなって伝わってくるんです。

まさに、彼にとって今回の火起こしは、「実践」でした。

 

家庭での父性的な「一線を引く」というこれまでの関わりがあってこそ生まれた彼の姿と心の動きでした。

素敵ですよね。色んな人の関わりがあって子供が育つってこういうこと、と思います。

まあ、子供の気持ちのタイミングを見ずにずっとやらせないでおく、という関わりになってしまえばそれはそれで考えものですけど。

 

私はこう見えて、キャンプ経験がほぼないに等しいので、特に炭からの火起こしの手順を一から彼に見せてもらえてほんとに感激でした。火がつくかつかないかの微細な調整まで感じられて、もうこれは職人技!、男子ははまるな、と思えました。

彼が別のことをやりたいといったら、素人の私が初めてだらけの子供たちと悪戦苦闘することになったので、内心ほっとしました。おかげでおいしい焼きそばが出来上がりましたよ。

 

さて本番の明日は、やりたいことをチームに分かれてとことんやります。

どんな姿がでてくるか楽しみです。

 

さとのたね代表

岸本 梓