あっという間に新年です。昨年は(昨年も?)何かあるたびに心の器をぐぐっと広げてもらえた年でした。
心痛めて泣いたり、心震えて泣いたり、苦しくて泣いたり、結構泣くことが多かった1年かも、と振り返った今思います。
大人になってもこんなに泣けるなんてと思いますが、なかなかにありがたいことですね。
少しずつ思いの発信をと思いつつ、ネタは日々湧き上がるようにいくつもあって、心は常に動き続けているのに、ついつい心で練って満足しちゃいがち。
なかなか筆が取れない私です。
今年もどうぞゆっくりお付き合いください。
書きたかったことの一つに、ここを巣立ったお母さんたちのことがあります。かれこれ2年以上前に感じていたことをいつか書こうと思いつつ、熟成させまくってしまった感もあるのですが…(笑)
昨日久々にOBのお母さんたちに会って、「あ、やっぱり書こう」って思いました。
コロナコロナのご時世で、誰かに迷惑をかけちゃいけない、誰かに何かを言われるかもなんて気持ちを知らず知らずのうちに負っている人ってたくさんいると思うんですよね。
閉塞的な空気が蔓延する中、それでも、OBの子供たちもお母さんたちも元気でした。
でもね、きっとこの1年、子供のことで、自分と家族のことで、学校のことで、職場で、それぞれの関わるコミュニティの中で揺れたり迷ったりも少なからずあったと思うんです。
コロナに直接関係なくても、そこから影響するひずみみたいなものは、私もあちこちで感じていました。
それでも自分の地域で、自分の持ち場で、自分の生きる場所できっと自分なりの繋がりを、それぞれが広げ続けていたことを私は想像していました。
「私も子供も大丈夫」という根っこを持ちながらも、子育てはここで終わるわけでもなく、自分を生きるということがここで終わるわけでもないわけで。
安心、温もりの中から巣立っても、立ち止まること、揺れることはあるでしょう。
時に孤軍奮闘し、自分の中で練ることの時間の長さでいえば、ここを卒会してからのほうがずっと多いように思います。
新しい場所で、自分の「大丈夫」をもって、次の誰かに繋いでいく。そんなお母さんたちです。
痛みも躓きもひっくるめて誰かと紡ぐ幸せを届けていく、その心を思うとなんだか愛しくて涙が出ます。
だからね、簡単じゃないんですよ。人一人が育っていくのも、自分の心を遣って誰かの思いと繋がっていくことも。
今も、時間をかけて、嫌になるほど転んで立ち上がって、揺らぎの中にいつも自分の軸を見すえながらそれぞれが生きているのだと私は思っています。
だからこそなのかな。
流れ去り、時に忘れ去られていくこの場所で、継続的に、深く人と関わっていく、という「人が最も疎ましがるところ」で、子供たちとお母さんたちのこと、そっと見守っていられればと思うのは。
一番簡単じゃない、覚悟のいる場所で。
それが手段としてわかりやすく言えば「保育」ということなのだろうけど、「保育」にとどまらない領域で、様々な人の思いに触れながら生き続けることを深めたいって思ってるのでしょうね。
超めんどくさがり屋なのに・・・
話がずれましたが、人は相互の中で生きています。
「自分を生きる」と言っても、そこに相互関係があってはじめて、自分を生きることができます。
それはここを巣立ったお母さんたちへの思いと同じ。
普段関わっていなくても、久しぶりに会った時の表情、声色、子供の姿を通して想像できます。
どんな状況でも、どんな環境でも「揺れながらも自分と人を信じてよくやってるね」って。
そこに一人よがりの「自分を生きる」は感じられません。
さとのたねでは、「ミーティング当番」という、卒会後OBになって関わる場所があります。
月に1回、現役お母さんたちが定例ミーティングで話し合いをしているときに、OBのお母さんが子供たちの預かりに時間を割いて来てくれます。
あるお母さんがOBになった頃、こんな風に伝えてくれました。
「こんな気持ちで前のお母さんたちも、子供たちのこと預かってくれてたんだね。今ならそれがわかる、どんなにありがたいことか。だからこうやって関われることがうれしい。」って。
現役母の立場では決して見えない視点です。
でも、そうやって見えないところで心を動かし、ゆたかな想像力で思いを巡らせ、感謝に変えてくれるOBの母たちがいるからこそ、人が人との相互関係を紡ぎ続けているからこそ、成り立つことがあるとその時、心底感じました。
来年度、4,5歳児クラスを作るのに、もう一つ理由があります。
巣立っていった子供たちが、お母さんたちが疲れてうまく飛べないなって思ったときに戻ってこられる場所をという思いもありました。
小学校へあがってからのほうが時に壁にぶつかり、迷いが生じることが多いからです。
4,5歳児クラスまであれば、きっと子供たちも原点回帰しやすい。
心を回復する場所さえあれば、もう一度自分を取り戻せる場所さえあれば、芯を培ってきた子供たちと母たちです。自分で自分の道を切り開く力がある、そう確信しています。
これからを生きる子供たちと母たちにエールを込めて。
それぞれの場所で生きるお母さんたちの心がどうか豊かであり続けますように。
さとのたね代表
岸本 梓