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電子書籍化の裏側で

さとのたねのお母さんたちから、年末に電子書籍の発表、年始にインスタグラム開始のお知らせがありました。

今年の広報担当母ちゃんたちは、「担当」という枠を飛び越えて、ひそかに、ひそかに自分の中の思いをためて重ねて、ここぞっていうときに形にしてくれている縁の下の力持ち的存在です。


特に今回の電子書籍化に関しては、一人のお母さんの思いから始まっています。


さかのぼれば3月末。コロナの不安な情勢の中、私に一通のメールが届きました。


「こんな状況だけど、提案があって連絡しました。

題して『さとたねを世界に届けるプロジェクト(仮)』」


「私は、さとたねに入るのに数か月悩んだけれど、今いろんなことが起きるたびにやっぱり入ってよかったな、という思いがあります」


「だから、さとたねに入らなかった人、入れなかった人、まだ知らない人にも、ここでの子育てのことやママたちの葛藤や、保育者さんたちの言葉を届けたい」


彼女の提案における方法は「映像、文字、ブログ、本、冊子」と多岐に渡っていました。


その真っすぐな思いから始まった『さとたねを世界に届けるプロジェクト(仮)』の一つが今回、講演会の電子書籍という形になって皆様のもとに届けられようとしています。


その前年には、実際に講演会を企画したいというOBのお母さんたちの熱い思いがあり、この思いをまた別の形で伝えたいというお母さんがいて、そんなふうに繋がっていくことを私は奇跡のように見ていました。


深めていくことは得意でも、広げていくことが苦手で、情報処理が追い付かない私ですが、彼女は電子書籍化するまでのこの数か月間、丁寧に私の講演会での意図と思い、そして方向性をくみ取ろうとしながら、関わってくれました。


講演も、書籍化も、インスタも、私からお願いをしたことでも、私がやりたいといったことでもなく、ここにいるお母さんたちが、人との関わりの中で、自分で感じて、自分でやってみたい、やってみようって決めたことです。

しかも、必ず、その軸を確かめながら、自分の考えと思いをのせて形にしていきました。


手っ取り早く、見栄えのいい手段や方法を取ろうと思えばいくらでもあります。


でも、きっと、大事なのは、そうした手段や方法に捕らわれるのでなく、そこに生きる人の真っすぐで、湧き上がるような思いがあってこそ。


その思いに共鳴するから、「思いが循環し」、「広げる」が形になっていくのだと思います。


面倒くさくても、多少回り道しても、私は、お母さんたちの満足感を大事にしたい。

少なくとも、ここはそういう場であり続けたいと思っています。


今年もお母さんたちに敬意を込めて。


さとのたね代表

岸本 梓