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自分で選ぶことの難しさ

どこもかしこもなかなか厳しい状況になってきていますね。コロナもこれまでとはまた違ったウィルスになって猛威をふるっています。

ある意味自然界の脅威ですが、ウィルスたちにしてみれば生き残りに必死かもしれません。

そんな中で、さてどうやってこれからを工夫して暮らしていこうとまた考えているところです。

今は夏休みですが9月にはいれば保育も始まります。

密閉された箱詰め空間でないことが私たちとっては救いですが、子供は群れて育つもの。

いつも工夫と、ギリギリの判断の連続です。

 

免疫学に詳しい藤田紘一郎さんの話がわかりやすくて、私は好きなのですが、藤田さん、今年の5月に亡くなっていました。残念。ご冥福をお祈りします。

 

たまたま夏休み、新刊を手に取って読んだのちに、知ったのですが、この本ができてすぐにお亡くなりになっていました。

ワクチンも一つの手立てですが、もともと人間が持っている自然免疫のこと、免疫力はどこで作られるのか、常在菌の働き、重症化の仕組み、など根本的で自然界に生きる人間の原理的なお話はなるほど、と思うことがたくさんあります。

 

でも、きっと人がどんな説を選択して、何を取り入れたいかは好みもあるので、私の場合は、ですが。

 

なんでもそうですが、事が起こってから原因を探ることや今すぐ取り組めることを選択することも大事ですが、もっと根本的なことに目を向けてみる、そんなことを気づかせてもらえるお話です。

 

あとがきに今の日本を巣食っている人の心の問題が書かれていました。

 

少し前のGoToキャンペーンの話から。

 

割引で旅行や食事ができると喜んでいたはずなのに、状況が変わるだけで批判的な感想を持つ人がいっせいに増えるのです。

そんなときに出てくるのが、「国や行政主導で、対策をもっと厳しくするべきだ」「国の対応が遅すぎたのではないか」という意見です。

 

多くの人たちは、国に自主性を規制されることを嫌います。

ところが、日本の多くの人たちは、国民の行動に対策を講じることができない主導者を責めます。その意見からは、自主性を奪われることより、「国がなんとかしろ」という思いの強さを感じずにはいられません。

 

つまり、私たち日本人は、集団のなかで横並びでいることや、指示を仰いで生きているほうが楽、という性質を持ってしまっているのでしょう。

難しいことを考えなくてよいし、失敗の責任を取らなくてもよいからです。

 

これって今もずっとそうです。

 

自分で考える、選ぶって、選びにくいことは特に苦しい作業ですからね、誰もやりたがらない。

 

でも、自分が選ばないことで逃げ道を作っておける、誰かのせいにしておける、みたいなことっていっぱいあります。

実はこういう心の矛盾の噴出は、有事になるとはっきり出てきます。

今までこんなに長く危機にさらされることもなかったから、そういったことはなんとなくベールに包まれたように見えにくかった。

でも、本当は、自分が自分で選んでいるっていうことは、常にあります。

 

選ぶということは、そこに起こってくるもう一つの相反することを飲み込んでいくということ。

そのことがわかっていく人と、いつまでたっても自分事じゃない人がいるだけのことな気がします。

 

そうそう、先週だったかな、オープンアートの企画が延期になった後に、あるお母さんたちのワークショップ企画が上がったのをご存じでしょうか?

 

さとのたねの活動とは全く別な自主的な企画なため、基本的には担当者にお任せなのですが、数日前に彼女たちから私に相談がありました。

「気持ちはあるんだけど、どう考えますか?」って。

 

私は、

何のためにやるのか、目的は何か、

どんな内容か、感染対策はどんなふうに考えてるか、

そして、彼女たちが、どんな気持ちで今これに臨もうと思っているのかを確認させてもらいました。

 

私の立場でどうしたいか、ではなく、企画を考えた彼女たちがどんな思いで、どんな風に考えているのか、そこを聞かないと始まらないからです。

私からは、日ごと状況は変わるから、気持ちが変わって、引き返したくなったら、引き返していい、ということは伝えました。

 

そして再度告知のための文書の確認の際には、彼女たちが真剣に考えたであろうワークショップの感染対策の方法がもう一段強化されて、明らかになっていました。

それは、私が指示したものでなく、自分たちなりに編み出した策です。

 

その後、これとこれとこれは確認してね、ということはいくつか付け加えさせてもらいました。

1人のお母さんは、

「色んなことに気をつかわなくちゃいけないけど、その時間が親子にとって楽しいものになるようにしたい」

そんな風に伝えてくれました。

 

それでも、迷わない、なんてことはないと思うんです。すっごく難しい選択だと思うんです。

だから、いつでも、引き返せるように、最後の最後はどっちになっても大丈夫、今もそんなふうに私は思ってます。

どっちに転んでも、結果は私が引き受ければいい。

 

でもね、やっぱり、その経過を自分たちなりにたどっていく、味わっていく、っていうことが大事って、私は思っちゃうんですよね~、厳しいけど。

そこを自分たちでしっかりたどっていることがわかるから、私も最後を引き受けられる。

結局、人はみんなお互いさま。

 

最後にもう一つ。藤田さんのお言葉を借りて、

窮屈な世の中で頑張ってるお母さんたちへ

 

私が気がかりなのは、コロナ禍が去ったあと、手洗いや消毒に熱心になる日本人の自然免疫力が、どのくらい低下しているだろうか、ということです。

だからこそ、気づいた人から、自然免疫を高めるために、自然の中で「キタナイ」ことをたくさんしてほしいのです。

土をいじり、動物や昆虫に触れ、泥んこ遊びをする。山に登り、海で泳ぎ、川で魚を釣る。これだけで私たちは自然免疫力を高めていけます。

 

その理由は、本でどうぞ。面白いですよ。

「感染症と免疫力~腸内細菌博士が教える新型コロナ予防法」より。

藤田紘一郎著(東京医科歯科大学名誉教授。専門は、寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。)

 

さとのたね

代表 岸本 梓